ぼくのなつやすみ2◇語るだけ《その1》

ぼくのなつやすみ2のネタバレを含む感想、お語りです。

ゲーム内容を知っている前提で話を書くので、ゲームをしてから見ていただきたいです。

 

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最初に

ぼくのなつやすみシリーズってしってますか。

私は初代と、ぼくなつ2(リメイクなし)をプレイしたことがあるのですが、んもうどうしようもなくすごく好きなシリーズです。

…私の両親はゲームが好きで基本的なゲーム機は家にあり、兄と姉がいるのでゲームソフトまでもがいつの間にか家にある環境で「ぼくのなつやすみ2」もいつの間にか家にあったソフトです。
欲しがらなくてもいろいろなゲームプレイができる環境、お上品な家庭からみたらオタクを育てる害悪環境ともいえるでしょう。ちなみに人生で一番ハマったゲームはバーチャファイターです。

 

初代のぼくなつは、兄にバグを教えられそれから恐怖でプレイできなくなってしまい1回くらいしかプレイしたことが無いのですが。

ぼくなつ2は死ぬほどやりこみました。

少なくとも5,60回は夏休みを繰り返した記憶があります。
基本的にゲームは下手で、現実世界でも不器用で非効率な人間なので1プレイですべてのイベントを見ることができない、やりこみを達成できない…ということで何度も夏休みを繰り返すことになってしまいました。

特に虫相撲が苦手で何十回夏休みを繰り返しても『グレートオオキング』や『でけえザリガニ』に私の虫たちの命は散らされ、夏休み中に山には登れずリビングで蹲り号泣した覚えがあります。

 

この8月はこのぼくなつ2を語りたいと思い、記事をいくつか書く予定です。
社会人になってからがっつりした夏休み、というものもなく友人も少なく、孤独な私には仮想の夏休みを思い出すのがお似合いです。

 

 


舞台は静岡がモデルの【富海】という海に囲まれ、船で町(潮館)に出るタイプの田舎。
海もあり山もあり、大人になった今はもうそこに訪れただけでぼーっと座って夏休み過ごせそうな場所です。

もちろん、ゲームでも全く何もせず毎日過ごすだけで夏休みを終えることもできます。
ですがもう気になることが多すぎて多すぎて、きっとゲームをプレイし始めたら何もせずにいることはできないと思います。

ちなみに私は自我の無い7歳ごろに初めてプレイしたので、初回プレイは何もせず朝顔だけ育てて完走した猛者ですが、基本的にはイベントをこなす人が多いと思います。

自我を持ってからは引きこもっていた中学生頃と、社会人1年目にストレスによる現実逃避のため何回もプレイしたのですが、自我のなかった子どもの頃とは違った気持ちでプレイ出来ました。

とりあえずこのゲームはすっごく、自由です。

上記したように何もせずゲームを終わらせてもいいし、虫取りや釣りだけをしていてもいい。子どものような好奇心で、いろんな人に話しかけていろんな人との関わりを大切に舐め回すようにプレイしたっていい…。

すごく自由度が高くて、プレイヤーにスタイルを委ねている癒しゲーだと思います。

なにより、このゲームの推せるところはイベントが全部エモい

発売したあの頃はエモいという言葉が無くて言い表せない部分もあったんですけど、とりあえずエモいんです。やったことある人はわかると思う。エモい

 

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◆登場人物を大まかに◆

ボク

主人公であるもののプレイヤーを置いてけぼりにする無鉄砲さを持つ天然都会少年。小学3年生。ひとんちの犬逃がしたり、ハチの巣突いて刺されたり、、、

いらんことはよく言うのに必要なことは言わない。あと顔がでかい。

自己紹介するときは「ボクはボク」とコジコジのような自己紹介をする。

 

親戚のおじちゃん家族(荒瀬家)

ボクの親戚で、富海で民宿《茜屋》を営んでいる。ボクが夏休みの間預けられている家。

おじちゃん
大雑把な性格で、高所恐怖症。夕飯を食べたらすぐ寝る。
ボクが遠くまで遊びにいきすぎると、夕飯の時間に突然表れて「めしだぜ」の一言で連れ戻される。

おばちゃん
明るくてチャーミング。
朝昼のご飯を死ぬほど作る。肩たたきすると10円くれる。

タケシ
小学5年生。正義感があり好奇心旺盛。将来の夢は教師。

シゲル
小学2年生。びびりで意気地なし。すぐキレてくるものの数秒後にはめっちゃなれなれしくしてくる。あといつもたくさん疑問を抱えてる。夜に話しかけると基本「どうしてかな?」系の話をしている。
光が好き。

 

相良家

靖子お姉ちゃん
主人公ボクくんと一緒の船で富海に帰ってきた高校1年生。
現在は東京の高校に通うため下宿しているが、もともとは富海の生まれで夏休みに帰省している。
この作品の第二の主人公だと思う。イベントが多すぎるしエモの神に愛されてる。


ヤスコの妹。小学2年生でシゲルと同級生。シゲルはいじわるしてくるので嫌い。
《占い》でどこにいけばイベントが起きるか教えてくれる一種ヒント役。

じいちゃ
靖子と光のおじいちゃん。73歳。
富海の診療所で医者をしている。

静江
靖子と光のお母さん。お盆にだけお墓参りに富海にやってくるが基本東京に住んでおり子どもたちとは別々に暮らしている。
靖子と仲が悪いらしい。

ケン坊
ボクが逃がした犬

 

仲川家

洋にいちゃん
中学3年生。受験を控えているもののロケットの打ち上げ実験に精を出している。
ロケットの打ち上げは失敗続きだが、夏休み中にもう一度ロケットをあげられるよう準備を続けている。

オオカミじじい
洋の父親の炭焼き職人。山奥の炭焼き小屋に住み込むような形で働いている。
昔オオカミを探していたため変なあだ名をつけられた。オオカミを見つけたものの実物を誰にも見てもらっていないので見つけたことを誰にも信用してもらえていないあわれなやつ。
夏休み終盤忽然と居なくなる。

 

ほかの主要人物

サイモン・ライヒ
外国人の写真家。日本語が上手。

谷口
無口な中年男。夏休み終盤にやってくる。
おばちゃん曰く、根は優しそうとのこと。

芳花
ボクからは女子大生と呼ばれている美人のお姉さん。活発な人でギターが上手。
アルハンブラの思い出』しか弾けないらしい。

凪咲
診療所の看護婦さん。

船頭
潮館と富海を結ぶ船を運転しているおじちゃん。

 

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最高のOPとED

まず、この作品の何がいいってOPがいいんですよね
初めて一人で船に乗って緊張しているボクと、帰省にゴキゲンな靖子の対比、そして靖子がボクに気が付き声をかけて、物語がはじまります。

 

船着き場に来ると嬉しそうな靖子と、困ったようなボク…緊張していて解け込めていないだけ…という感じなんですけど、対比がすごい。

サイモンに写真を撮ってもらったときも、緊張してオスマシポーズのボク。

そう、OPでは基本両親に付き添ってもらわず子ども身一つで記憶にない親戚の家にやってきたボクは、緊張から顔がこわばり口を一文字につぐんでいるのです。

靖子お姉ちゃんに話しかけられたら少しにっこりしたけど。これから楽しい夏休みが始まるぞ~~!っていうよりは、これからどうなるんだろう、という不安の方が大きく感じられ、子どものリアルを感じました。

(…ボクくん、最後EDになるとにっこにこでかわいい。最初と最後のボクくんの変化表現も、楽しかったね!という気持ちになれて好きです。)

 

…とにもかくにもオープニングではこの作品の主軸となる主人公は緊張しているボク。

だけど、一緒の船で一緒に富海にやって(帰って)きた靖子は明るくて…こっちが主人公なんじゃ?と感じてしまうような対比のされ方だったと思う。

…これがすでにめっちゃいい。靖子が先に帰省していて、富海に来たボクくんと出会うんじゃなくて船で一緒になるっていうのがいい。一番初めに気心の知れる都会を知っているお姉ちゃんという立ち位置に入り込んでくるのすごい…。

 

そしてこんな予感がするはず。きっとボクは靖子お姉ちゃんが大好きになる。

優しくて、気にかけてくれて、おじさんちの兄弟になじめていない序盤のボクくんは靖子お姉ちゃんに富海を案内してもらったり、好きな時にお姉ちゃんを尋ねてきていいよと許可をもらって心に余裕ができる。

もう靖子お姉ちゃんが大大大好きになる。私はなった。めっちゃすきになってストーカーのように毎日毎時間靖子お姉ちゃんに張り付いた思い出が記憶に新しい。

私は一時期こじらせすぎて自分をボクくんだと思い込んでいたので、靖子お姉ちゃんを心の綱にしていた時期もありました。(どゆこと?って感じですけど私もどゆこと?って思ってます。)

 

そしてEDですが、これはプレイヤーの分身であるボクがどれだけ充実した夏休みを過ごしたかで大筋は変わりませんが内容が変化します。全部で3種類あるようです。

やりこみしたくなるいい分岐だと思いました。

私は常にノーマルかバッドエンドばかりで、ハッピーエンドは大人になってから見ました。(海に落ちたバルブが永遠に見つからず大泣きしました。)

 

ナイスな音楽

そして、次のこの作品でいいのは音楽・・・・・・・・・・・・・・・・。
何そのチョイス・・・・・・・・・・・・・・・・。って感じの曲が流れる。

子どもの頃の夏休みがテーマで、しんみりとしたクラッシックが流れる。子どもの頃効いたときは何とも思わなかった音楽。大人になると物悲しいと感じる音楽がうまいことチョイスされてる…とおもいました。 

 


夜、靖子お姉ちゃんの部屋に訪れるとなかなかの音量で「エリック・サティのレコード」が流れています。
全四曲が永遠にリピートされるのですが、公園の横の坂を上り、だんだんレコードの音量が近づいてきてなんだか胸が高揚す不思議な感覚を味わえます。

…この外まで音楽ばんばか鳴らすなんて行為、今の時代では騒音問題としてぶちのめされるやつですが、各々の家がぽつぽつと建っている昭和の富海では大丈夫っぽい。


ジムノペディ第1番

エモエモのエモの代表格がこれ。

そんで、このジムノペディ第1番の何がエモいっていうと、音楽詳しい人はわかると思うんですけどジムノペディは第3番まであるピアノ独奏曲で、このジムノペディ第1番は「ゆっくりと苦しみをもって」「悩ましげに」という弾き方の指示がついています
…既にエモいですよね。

ピアノ弾く人はわかると思うんですけど、この曲はテンポ遅くて簡素なんです。余分な音が無い、ような感じです。
簡素なんですけど簡単というわけではなく、左手が難しいので私はうまく弾けません。

靖子お姉ちゃんはこの曲が好きだといって毎晩流している。

どうしてこの《ゆっくりと苦しみをもって》いる曲が好きなのか。
これは別途記事でも語る予定なんですけど、靖子お姉ちゃんの人生がまさに《ゆっくりと苦しみをもって》《悩ましい》からだと私は感じました。
いやエモ~…。人生と音楽重なってるのエモ~…。


ナマコの胎児
この曲は指示が有名で、「歯の痛いナイチンゲールのように」というものがあります。
これを見ると、「歯が痛いの」といっていた芳香お姉ちゃんや歯医者通いのじいちゃを思い出しちゃいますね。

左手の三和音がナマコの鳴き声?のような感じで、右手はゆっくり動く…というナマコのおっとり感が前面に出ている曲です。

また、このエリック・サティって独特の名付けで有名な人で、個人的には大好きで有名どころでは『犬のためのぶよぶよした前奏曲』とかがあり、この『ナマコの胎児』も私は名前が好きです。


ノクチュルヌ第3番
5つの夜想曲ってやつなんですけど、私全然この曲馴染み無くて調べました。
第3曲は「やや動きをもって」という指示のある曲です。


ジュ・トゥ・ヴ
日本語訳すると「アナタが大好き」という曲で、過去ハルヒなんかでも使われたエリック・サティの曲の中でもそこそこポピュラーな曲
私はNHKの夕方クインテットで聞いた覚えがあります。好きな曲です。

洋お兄ちゃんとの再会、お母さん事件で落ち込んでいる靖子お姉ちゃん(三角座りで顔を伏せている)をみながらこの曲を聞いたとき、この曲を選ぶなんてスタッフに天才がいるな…。と思いました。天才でしょ…。

 

>>これらの夜に流している音楽を総合して考えると…

靖子お姉ちゃんの流しているこのレコードには物語があるように私は感じました。

それぞれの楽譜の指示ではありますが、楽譜の指示は曲の伝えたいこと根本に繋がっていると私は思います。(実際の楽譜が手元にないので検索しての確認になりますが…)

 

①ゆっくりと苦しみをもって
②歯の痛いナイチンゲールのように
③やや動きをもって
④「アナタが大好き」

 

この流れです。

え???と思ったかもしれないですけど。
この流れなんです。靖子お姉ちゃんの人間関係の流れは。

お母さんとの関係、洋お兄ちゃんとの関係。

靖子お姉ちゃんはこの二つの人間関係に、何年も何年も悩んで、ゆっくりと苦しんでいます。
そして、「歯の痛いナイチンゲールのように」というものですが、個人的な解釈では苦しみながらも前進する…という感覚かなと思っています(解釈違いだったらすみません)。
苦しみ悩み這いながらも前に進み、ノクチュルヌ第3番ではやや動きを持って…という指示でしっかりと前に進みだします。
そしてその結果「大好きなアナタ」に会えるのではないでしょうか。

 


フレールジャック
夜に流している曲以外にも、靖子お姉ちゃんが「フレールジャック」に替え歌をつけていてそれもエモの塊みたいな…元気玉みたいな勢いがありますよね。
グーチョキパーで何作ろうのメロディにもなっているフランスの民謡です。

小さい三毛猫がいつも一人で過ごしていだけど、その後友達ができて楽しい!という歌でした。
その後、また三毛猫は一人ぼっちになっちゃう…というところまで考えて、靖子お姉ちゃんは悲しいから作るのを辞めた、と言っていました。
この歌詞、この夏休みに当てはまる気がしませんか?

 

まず、ボクと靖子お姉ちゃんは都会の学校でどんな友達がいるだとか、そんな話をしません。
全くの一人ぼっちで孤立している、とかではないのかもしれないけど、心のどこかが孤独なのかもしれない、とも感じてしまうくらい話題に出ません。

そして、富海で友達ができます。

ボクはたくさん出てくる登場人物や靖子お姉ちゃん。靖子お姉ちゃんはボクやイベント中に改めて仲良くなった洋お兄ちゃんなんかです。

ゲームの最後ではボクと靖子お姉ちゃんは船に乗って都会へと帰りますが、靖子お姉ちゃんの考えるのを辞めた歌詞の猫と同じような過程をたどって《一人》に戻ります。

けど、靖子お姉ちゃんは最後三毛猫が一人ぼっりになるラストを打ち止めました。悲しいから。
それは本当の意味での一人ぼっちではないんだよ…ということなのかな?なんて考えちゃったりして。

 

今回は触り、オープニングやエンディング、音楽なんかについて語りました…。

夏になると何度でもやりたくなるゲームですね。北海道のぼくなつ…やりたいんですけどび~~~~ただけですよね…。