【考察メモ】地縛少年花子くん・8巻の七夕祭りについて

下記、単行本14巻までのネタバレを含むまとめと考察メモです。

 

 

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単行本8巻に収録されたお祭り回ですが、私はこの話が大好きなので異様に読み返しています。
なので、気付きをまとめておこうかな、とメモ記事です。

 

◇参考:七夕祭りについて◇
織姫と彦星の有名な話です。

 

着物を作ることを仕事としていた織姫と、天の川の岸で牛飼いをしていた彦星。
彦星は立派な青年で、織姫は輝くように美しい娘でした。神様はまじめに仕事に励む織姫にお婿さんを与えようと彦星と会わせます。
二人は互いに一目ぼれ、仕事も忘れ遊び暮らしました。
すると、彦星の飼っていた牛はやせこけ病気になり、織姫が服を作らなくなったので服は足りなくなってしまいました。
そのため、神様に皆が文句を言いに行きました。すると、神様はお怒りになり織姫と彦星を天の川を隔てた東と西に裂き置いて、離れ離れにしました。
しかし、織姫があまりにも毎日悲しそうにし、仕事にも手がつかなかったため神様は一年真面目に働けば7月7日の夜だけ二人が会うのをお許しになりました。
一年に一度会えることを楽しみに織姫も彦星も真面目に仕事に取り組むようになりました。
7月7日は天の川にカササギの橋がかかり、織姫はそれを渡って彦星に会いに行きます。

 

みたいな、話です。
私なりにまとめたものなのでいろんな逸話が混じっているかも…。
諸説あります。カササギの橋は雨天時だけ、とか…。雨が降ると川が氾濫して会えない、とか…。

 

〇日本に残る風習
ほとんどの神事は、「夜明けの晩」(7月7日午前1時頃)に行うことが常であり、祭は7月6日の夜から7月7日の早朝の間に行われる。午前1時頃には天頂付近に主要な星が上り、天の川、牽牛星織女星の三つが最も見頃になる時間帯でもある。
全国的には、短冊に願い事を書き葉竹に飾ることが一般的に行われている。短冊などを笹に飾る風習は、夏越の大祓に設置される茅の輪の両脇の笹竹に因んで江戸時代から始まったもので、日本以外では見られない


作中の七夕祭りについて考える

彼岸のお祭り
空から大きな吹き流しがいくつも垂れている。
※織姫に供えた織り糸を表している。
作中の彼岸で行われている七夕祭りでは、
屋台で買い物をするとおまけで短冊がもらえ、5色集められたら全ての短冊にすべて同じ願い事を書き、会場奥の大笹竹にまとめて吊るすと願いが叶う。
というウワサがあるようです。

 

生きている人間だとばれてはいけない
怪異や妖怪、幽霊などが訪れるお祭りなので生きている人間だとばれてはいけない。
ばれると食べられたりなど、危害を加えられる可能性があるため、天冠(幽霊のつける白い三角頭巾)をつけて光と寧々は参加した。

 

此岸の通貨は使えない
一般的なお金は利用できないので寧々はオフロの時にはがれた鱗を通貨にしてお買い物をしていました。
価値のあるものと物々交換だそうです。
光や花子くんは何で買い物をしていたんでしょうか。

 

最終的に寧々の短冊はどうなったのか
描写が無いため不明ですが、最後花子くんに「短冊を吊るそう」と言われているので、何かしら吊るしたんですかね。
持っていた大量の短冊、牛に轢かれて落とした感じになったのかも。


★5色の短冊
七夕の歌にもあるように、短冊は五色あります。
基本的に五色とは《青(緑)・赤・黄・ 白・黒(紫)》を表し、作中では《緑・赤・黄・ 白・黒》となっていました。

★短冊の色の意味→五常という考え方に基づいている
青(緑):思いやること、人を愛すること。
赤:目上の人を大切にする。相手に尽くす。
黄:約束を守ること、正直であること。
白:ルールを守る、義務を果たすこと。
黒(紫):優れた知識を持つこと、正しい判断をすること。

五行思想
これは中国の自然哲学の話になるのですが、上記の五色はそれぞれに意味を持っています。
全てのものは《木・火・土・金・水》という5種類の元素から成り立っているという考えです。五行思想では《相生》助け合う関係、《相克》邪魔をする関係という考え方があり、互いに影響しあうと考えられています。

 

【木】(緑)【五常:仁】
→《相生》火である赤。木が燃えて火が生まれる。
→《相克》土である黄。木が土砂崩れを防ぐ。
【火】   【五常:礼】
→《相生》土である黄。火から灰(土)が生まれる。
→《相克》金である白。火は金属を溶かす。
【土】   【五常:信】
→《相生》金である白。土の中から鉱物(金)が出てくる。
→《相克》水である黒。土は川をせき止めてしまう。
【金】   【五常:義】
→《相生》水である黒。金属は温度差で水滴がつく。
→《相克》木である青。斧(金属)は木を切る。
【水】(紫)【五常:智】
→《相生》木である青。水は木を成長させる。
→《相克》火である赤。水は火を消す。

 

▼参考サイト

【五色の短冊】七夕の短冊は色で意味が違う? 五色の短冊の意味を調べてみた。 | 販促マップ

 


1964年7月7日の此岸七夕祭り
小学生の柚木普が存在している寧々の夢(?)の中。
地面に水は張っておらず境界ではない。

 

双子の弟つかさと来たらしいが最後までつかさの姿はなし。(型抜きを3時間以上しているらしい。)
作者ツイッターによると普くんの初恋みたいです…。寧々の初恋泥棒…!

 

首からお財布を下げている普
微笑ましく見えるがま口財布ですが、普はたくさんの屋台からたくさんの食べ物を買ってきます
私の覚えた違和感は「いったい小学生の子どもにいくら渡しとんねん」というところです。
もし、子どもだけでお祭りに行かせるにしても「夕飯までには帰宅させる」か「途中で合流する」などが考えられると思います。
暗くなった夜にお金だけ大量に渡して「外で食べてきな」というのは、現代では黒に近いグレーゾーンのネグレクトかな、と思ってしまいました。

 

普の年齢
作中では小学生と明記されています。
別記事でも書きましたが、1964年時点での普くんの年齢は8~10歳だと考えられます。
1969年時点でかもめ学園中等部なわけですから、13~15から5歳引いた年齢です。

▼別記事

horitime.hatenablog.com


普の夢
この回で初めて柚木普の将来の夢が《宇宙飛行士》であることが明記されました。
短冊に書いてお願いしようとしているようでした。
しかし、最後には「書いたって宇宙飛行士になれるわけじゃないし…」と寧々に短冊を譲ろうとします。
小学生なのにすこし、達観しているイメージです。

短冊に書く願掛けの変化
寧々からたくさんの短冊を貰った普は、《宇宙飛行士になれますように》という願いではなく《ねねおねえさんとまたあえますように》と願掛けをします。
そして、一人で笹に短冊全てを結びました。


★花火が上がった
花火が大量に上がる神秘的なシーンがありました。
一般的に花火って早くて19:00前後…遅くて20:00くらいから始まるのかなってイメージです。
そんな時間に普くんはどうして子ども一人(もしくはつかさくんと兄弟二人)でお祭りに滞在していたのか…。

 

昭和の文化、背景がいまいちわかんないですけど、花火の描写を見るに周りの子どもたちは自分の親御さんと一緒に花火を見ています。
おんぶされている子だったり、親の元へ走り寄る子や、家族みんなで空を見上げている人達など…。
子ども一人でお祭りへ遊びに来ているのは普くんだけに見えます

(見ようによってはひとりで走っている子どもや姉妹だけで花火を見ている子もいる?)


彦星に殺された牛が恨みを込めて練り歩く
七夕伝説で彦星に殺された牛は"自分から"殺してくれと志願します。
そして彦星は苦悩の末泣く泣く牛を殺す。という話はありますが、牛が彦星を恨んでいるという話はありません。この話の中で一番違和感を感じる部分でした…。
いたずらに牛を殺す彦星の話も探してみましたが見つかりませんでした。

この練り歩き行事が今後の展開の、なにか伏線になってるんだろうか…。牛…?

 

 

すごく微笑ましくてかわいい話に見えて、伏線をたくさん詰め込んでいるんじゃないかと思って血眼で読んでいたんですけど、そんな卑しい目で見ていたら全部が疑わしく思えてしまいました。

みなさんは純粋に作品を楽しんで読んでください。脳死して読むのが一番楽しいです。

\花寧々さいこー!/\普くんの初恋話かわいい!/